「タチ」とは真鱈(マダラ)の白子の事です。北海道では「タチ」と呼ばれていますが、岩手・宮城では「鱈菊(タラキク)」、京都では「雲子(クモコ)」と呼ばれます。
真鱈の産卵期は、11月〜2月にかけての冬の時期になっており、産卵にあわせて白子も発達する為、鱈と同様に「タチ」も冬が旬になります。
この記事では、「タチ」生臭みをとる下処理の方法と、市販の天ぷら粉や玉子を使わずに「タチの天ぷら」作る方法を紹介しています。
「タチ」と「助タチ」の違いと新鮮なタチの選び方
北海道で多くとれる鱈には、真鱈と介党鱈(スケトウダラ)の2種があり、真鱈の白子を「タチ」と言い、介党鱈の白子は「助タチ」と呼んで区別されています。
「助タチ」と比べると「タチ」の方が、見た目にも一つの房が大きく膨らみと厚みがあり、「助タチ」の方は、房の部分の厚みがなく、やや小ぶりで房が細かい印象です。価格も「タチ」の方が高めです。
味については、「助タチ」よりも「タチ」の方が味が濃厚で、中の柔らかい部分にボリュームがあり、食べた時にとろけるような食感がより強いです。特に、天ぷらにする場合は、クリーミーな食感が活きるので「タチ」で作る事をおすすめします。
もちろん、「助タチ」を使っても天ぷらを作る事が出来ます。その場合の下処理や調理方法は「タチ」と同じですが、「助タチ」のほうが白子の厚みが薄いと思うので、火の通り具合を加減して過度に加熱しすぎない方が美味しくできます。
新鮮な「タチ」は、色が白く透明感があります。薄いピンク色になっているのは鮮度が落ちている状態です。また、つぶれた胆嚢の色がついて部分的に黄色や緑色になっている事がありますが、食用としては問題はありません。ただし、色がついた部分に苦みがある場合があり、品質としては劣ります。他に、全体に房状の形がくっきりとしている物は新鮮です。鮮度が落ちてくると、房の形が崩れて溶けたようになります。
タチの「下処理」について
「タチ」の下処理の必要性については、「天ぷら」にする場合には不要としているレシピもあります。揚げる際に、しっかりと中まで火を通すよう気を付ければ、下処理は省いても問題ないのかと思います。
ですが、下処理をした方が寄生虫などの面では安全なのと、一般家庭の調理方法でも生煮えの失敗がなく、生臭みもなくなり、ふっくらと熱々に仕上がります。
この下処理の方法は、天ぷらの他、タチを鍋やみそ汁に入れる場合でも同じです。
タチの下処理【手順】
1.買ってきたタチをさっと流水で洗い、表面の血や汚れを流します。次に、ボールなどの容器にタチ、塩(大匙1)、酒(大匙3)を入れて軽く揉んで馴染ませます。
2.塩と酒で揉むと、タチからぬめりが出てきます。そうしたら、ボールの中に冷水を入れ、タチを浮かせるようにしながら、キッチンハサミなどで一口大に切り分けていきます。
切り分けながら、赤い血管とタチの根元にある厚くなった膜のようなものを取り除きます。あまり大きく取り除くとタチがバラバラになってしまうので、切り離す大きさは加減して下さい。
切り分けて余分な膜や血管の除去が出来たら、流水でぬめりを流します。1回ではきれいにならないと思うので、ぬめりが流れるまで数回すすぎます。すすいだ後は、ボールの中のタチの水を切っておきます。
3.タチが浸る量のお湯を沸かします。お湯が沸騰したら火を止めて1~2分置いてから、切り分けたタチに回しかけます。沸騰したての熱湯をかけてしまうと、火が通りすぎてしまうので、お湯は必ず少し置いて下さい。お湯をかけてから30秒程おくとタチがふっくら白くなるので、ザルにあけてすぐ冷水でしめます。
4.冷水でしめながら、膜の残りなどをざっと流水ですすいで流し、ザルに上げて水切りをします。天ぷらにする場合は、全体に軽く塩をふっておきます。
「タチの天ぷら」の作り方
タチの下処理が出来たら、あとは衣を付けて油で揚げるだけです。
今回は、市販の天ぷら粉と玉子を使わずに、タチの天ぷらを作ります。(市販のてんぷら粉を使っても大丈夫なので、その場合は商品の分量通りにご使用下さい)
【材料】
・タチ 1パック
・片栗粉 大匙4
・小麦粉 衣用大匙4 / 打ち粉用 適量
・塩 少々
・酢 少々
・冷水 100ml(打ち粉をしなければ少し少な目に)
【作り方】
1.下処理をして、軽く塩をふり水を切ったタチに打ち粉をします。
今回はビニール袋に小麦粉を入れてまぶしましたが、お皿などに小麦粉を入れて、切り分けたタチをひとつづつまぶしても良いです。打ち粉をすると、天ぷらの衣が素材により絡みやすくなります。
2. 冷水100mlに塩少々、酢少々を加え、片栗粉・小麦粉各大匙4を入れ、さっと混ぜます。衣の硬さは調整して下さい。同時に揚げ油を熱しておきます。
3. 油が十分に熱くなったら、タチに衣を付けて揚げていきます。衣をつけたら時間を置かずに、すぐに熱した油に入れて揚げます。一度にたくさん入れると油の温度が下がってしまうので入れすぎないで下さい。
4. 衣に揚げ色が付き、菜箸などでタチを持って油から上げた時に、箸にぐつぐつとした感触が伝わるようになれば、中まで火が通っています。油から上げて網などに乗せ、余分な油を切ります。
「タチの天ぷら」の食べ方は、あっさりとお塩や、天つゆでいただくのがおすすめです。熱々にレモンを絞っても、ポン酢でも美味しいです。
この他、タチと並ぶ北海道の冬の味覚である真鱈を使ったレシピもあります。 タラ(鱈)の漁獲量は、日本全国で北海道が第1位です。タラの旬である冬の時期には、札幌市内のスーパーで、大きな半身が500円ほどで買える時があり、うちでは半身で買った時には2日にわけて違う料理にして食べ ...
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