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自己歯牙移植手術を受けた時の事~手術の流れ、術後の痛み、その後の経過、保険適応と自費の違いについて

私は、2020年に自己歯牙移植を行いました。この記事では、私が自己歯牙移植手術を受けるまでの経緯、実際に私が受けた手術の流れ、術後の痛み、回復の過程、保険適応と自費の費用の違いなどについてまとめています。

自己歯牙移植とは

自己歯牙移植とは、虫歯などにより、歯を抜かなければならなくなった時に、抜いた歯の場所に別の部分の自分の歯を移植して、機能させるための手術です。
もし、抜いたところに自分の歯ではなく、人工物の歯を使うと自己歯牙移植ではなく、インプラント治療ということになります。

保険適用になる場合の条件と自費の場合の費用

自己歯牙移植は以下の条件を満たすと保険適用になります。
・親知らずが移植に使用可能な状態で残っている
・抜歯する歯が残っていて、同日に抜歯と移植が可能である
・抜歯する歯と移植する歯のサイズや根の条件が適合する
保険適応の場合の費用は、病院や行う検査によっても違いますが、大体は1~2万円の範囲内のようです。

保険適用の条件に当てはまらない場合は、自費となります。自費の場合も病院や使用する被せものなどにより費用は異なりますが、大体は10~20万円の間ではないかと思います。
私の場合は、移植手術と被せものだけの合計が12万円(自費)ほどでした。その他に、定期検診や検査の費用がかかりました。

実際に自己歯牙移植を受けた時の経過

ここからは私が自己歯牙移植を受けることになった原因から、自己歯牙移植を受けた術後の経過まで順に書いていきます。

1.歯ぐきから膿が出た

自己歯牙移植を受けることになった歯は、右の下側、奥から2番目の歯ですが、その歯は、小学生の頃に虫歯治療を行い、上に冠を被せた銀歯の状態でした。
ある時、その銀歯の根元から、膿が出ているのに気が付き、痛みはなかったので、歯茎に傷でもついて化膿したのだろうと考え、うがい薬で口内の消毒しているうちに、排膿は一旦治まりました。

その数か月後、また同じ場所から膿が出てきたため、歯科に受診しました。
レントゲンだけでははっきりしなかった為、実際に銀歯を外して、歯の状態を確認し、その結果、膿が出た歯の根の部分が割れており、割れた隙間から中に菌が入り化膿しているという結果となりました。

2.治療の選択肢

銀歯の中で歯の根が割れてしまっている事がわかったので、歯科医から以下の2つ選択肢を説明されました。
1)膿が出た歯は完全には抜歯せず、割れた部分の根元だけを取り除き、残った根に支柱を立てて隣の歯と一緒に、ブリッジのようにして使用する。
2)膿が出た歯を全部抜歯して、インプラント手術か、自己歯牙移植を行う。
私は、自己歯牙移植を選択しました。
この場合、もし親知らずが残っていて、抜歯する歯と形が合えば保険適応で出来たのですが、私は、もともと親知らずが生えていなかったので、保険適応にはなりませんでした。
自己歯牙移植を自費で行う場合、手術費用だけで10万円ほどかかります。ですが、インプラントになると40万円ほどかかってしまいます。
また、自己歯牙移植は、自分の歯で行うので、異物を入れる違和感も少ないとの事もあり、自己歯牙移植を受ける事にしました。

自己歯牙移植の移植に使う歯は、上の一番奥にある歯に決定しました。
レントゲンやMRIなどで、抜歯する歯と形や大きさがあっていて、根の形が複雑でなかったことと、もともと斜めに生えていたので、無くなってもかみ合わせに影響しない事などから選択しました。
自己歯牙移植
手術前に、移植する歯の根と同じ形の模型を作成しました。
抜歯した後に、移植する歯の根の形に歯ぐきの骨を削って、移植する歯をはめ込むのですが、その時に本物の歯を使うと、骨を削りながらフィットするまで何度も出し入れしていると、歯の根元の歯根膜という大事な組織が傷んでしまうので、模型を使って確認して、本物の歯を入れる時には1回でフィットさせるようにするそうです。

実際の移植手術の流れは以下のようになります。
①【麻酔】
抜歯する歯と移植に使う歯の周囲2か所に麻酔
②【移植する歯を抜歯】
移植に使う歯を抜歯して、生理食塩水につけ歯根膜の組織が痛まないよう保管
③【患部の歯を抜歯】
悪い歯を抜歯
④【患部の歯ぐきの骨を削る】
移植する歯の根の形に合うように、患部の歯ぐきの骨をドリルで削って調整
⑤【移植歯を埋める】
血液などを洗浄し、唾液などが入らないようにラバーで保護したら、移植歯を歯根膜を傷付けないように埋め込む
⑥【縫合】
歯ぐきの穴を縫合して、移植した歯も糸で歯ぐきと固定
⑦【固定】
移植した歯をボンドで両サイドの歯と接着し動かなくする

4.術後の痛み、出血について

手術は、麻酔も含めて3時間ほどで終了しました。
手術終了直後は、麻酔が効いているので痛みはほとんどありません。さらに1時間ほどすると、じんじんという痛みが、抜歯した部分と、移植した部分に生じたので、処方された鎮痛剤を内服しました。
出血は、はじめのうちは移植用に抜歯した方の穴から多く出ていましたが、2時間ほどすると、移植して新しく歯を埋めた部分から出血がにじみ出てきて、20~30分に1回は、血液を吐き出していました。
時間とともに、痛みは移植した歯ぐきを削った部分に強くなりました。
1日目はほぼ飲んだり食べたりはできず、かろうじて、ビタミンゼリーをスプーンで少し摂取できました。
2日目は、流れるような出血は止まり、痛みも鈍い感じになり、鎮痛剤は必要なくなりました。口の中がすこし腫れるので、固形物が噛めず、2日目もゼリーで過ごしました。
3日目を過ぎると、じんじんした痛みもなくなり、うがいした時に血の味がする事もなくなっていきます。
1週間ほどすると、抜歯した歯の穴も固まってきて、少し楽になりました。

5.移植した部位の安静と抜糸まで

移植直後は、抜歯した穴に新しい歯を刺しただけなので、移植した歯がずれたり動いたりしないように注意が必要です。
患部の側で食べ物を噛むのも禁止ですし、移植した歯の周辺は、電動歯ブラシも使うことができません。
痛みがあって固形物が噛めない場合、飲むゼリーなどを摂取する時も、ストローやパッケージのままゼリーを吸引すると、口腔内が陰圧になり、移植した歯が浮いてしまうことがあるので、飲むゼリーなどは、お皿にあけてスプーンで食べると良いでしょう。
抜糸は術後1週間後に行いました。

6.移植した歯の死んだ神経を抜き取り、仮歯を入れる

術後1か月ほどしたら、移植した歯の中の神経を抜き取ります。移植した歯は、一度抜歯してしまっているので、歯の中の神経には血流がいかなくなっています。時間とともに、神経は死んで腐ってしまうので、歯に穴をあけて中の掃除をする必要があります。
古い神経の掃除は、2~3回行い、掃除の最後の日に仮歯を装着して噛む練習に向けていきます。

7.仮歯で噛んで少しづつ負荷をかけていく

術後1か月半くらいして仮歯が入ると、ご飯などの柔らかいものから手術した歯で噛む事ができます。
私の場合は、初めの3日ほどは痛みはありましたが、1週間ほどで柔らかいものは噛んでも痛くなくなりました。どの程度噛む力を加えていくかは、歯科医師と相談しながら進めていきます。

8.土台を入れてさらに仮歯で負荷をかけていく

手術から2ヶ月目に、本物の土台を入れて、本格的に噛む練習をします。この時点では、まだ上は仮歯の状態ですが、土台は本物の土台なので、痛くなければ強く噛む事も可能です。
私は、この時点ではパンの耳以外は痛みなく噛む事が出来ていました。この、土台を入れた仮歯の状態が1か月ありました。

9.冠を被せて終了

仮歯で噛んでも問題なければ、最終的に冠を被せて終了になります。
保険適応の場合の冠は銀色のものになりますが、自費の場合は、白い素材の被せものを選ぶことができます。
私は、ジルコニアという素材のものにしました。ジルコニアにする場合、追加料金で2万円ほどかかりました。最終的に移植した歯に冠を被せて治療が終了するまで、4か月半かかりました。

その後も定期的に受診が必要

自己歯牙移植の後も、歯の管理の為には、3か月に一度の定期検査を進められます。私の場合は自費診療だったので、5年間の保証期間が付いており、保証を受けるための条件に、定期診察を受ける事が入っていました。
現在は、移植後1年以上経過しましたが、移植したのを忘れてしまうほど、何を噛んでも大丈夫です。中には、違和感や痛みが何年も取れない人もいるようです。
結果として、自己歯牙移植手術は成功して、自分の歯で噛む事が出来ているので、自費治療でかかった約12万円と保険診療でかかった定期診察の費用は、高くはなかったと思います。

  • この記事を書いた人

kinoko

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